東京喰種 トーキョーグールを読んだ感想
この作品の魅力は、人間と喰種という敵対する種族の狭間で揺れ動く主人公・桜木花形の苦悩にあると思います。人でも喰種でもない、どちらにも属さない存在。その孤独感が胸を刺します。喰種の自分を受け入れることのできない内面の葛藤描写もリアルで、共感を誘います。
対照的なヒロイン・霧嶋董香もまた、喰種を隠しつつ人間社会で生きる苦しみを抱えている。この二人のひとりぼっちが織り成す悲哀と美しさが素晴らしい。
喰種同士の抗争の裏には、差別や偏見といった現代社会が抱える問題を投影させたような構図も垣間見え、作者の批評精神にも感心させられる。
ダークな世界観ながらもハートフルな部分もあり、人間味に富んだ名作だと思う。最終回のシーンは圧巻で、物語の核心が凝縮された逸品といえる。
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